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ガンニバルが怖い

食人と村八分をテーマにした漫画「ガンニバル」を読み始めた。

山間の村に妻と娘と共に赴任してきた駐在、阿川は長閑な村の静かにゆっくりと流れる時間の中で、家族と平和に暮らしていくことに期待をしていたのだが・・・熊による老婆襲撃事件を切っ掛けにして、村人達の異常性に気付き始める・・・。

「この村の人間は人を喰う・・・?」

疾走した前任の駐在が残した言葉が阿川の脳裏からこびりついて離れない。
やがて村に立ちこめる排他的な空気と滲出する「狂気」。
果たして、阿川は愛すべき家族を守ることができるのか。

ガンニバル (1) (ニチブンコミックス)

ガンニバル (1) (ニチブンコミックス)

笑顔で「よそ者」と揶揄してくる村人の描写が典型的な「内」と「外」の対立構造をストレートに想起させて普通に怖い。
こういう地域モノの怖さの源泉は「村の秩序」とそれを守る「内」「外」の対立の様相に歪な偏りがあるところなんだけれど、本作はそれに加え、食人という異様なテーマが絡みつくことで更に「怖さ」を盛り立てている。

ガンニバル 2

ガンニバル 2

ガンニバル (3) (ニチブンコミックス)

ガンニバル (3) (ニチブンコミックス)

老後の資金がありません 感想

コツコツと貯めた老後資金1200万を元に、安泰な老後生活を計画していた後藤篤子。

だが、事態は唐突に急変する。

娘夫婦の派手婚援助で500万、義父の葬式代負担で400万と大きく貯蓄を取り崩してしまったのだ。おまけに折からの不景気のあおりを受けて夫婦共々失職。 貯蓄も大きく目減りし、経済的に先行きの見えない不安の中、さらに追い打ちをかけるように娘夫婦のDV疑惑が浮上する。

泣きっ面に蜂な不運スパイラル状態の篤子は、それでも幸せな老後生活のためなりふりかまわず奮闘する。

老後の資金がありません (中公文庫)

老後の資金がありません (中公文庫)

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時間離脱者 感想

現在と過去を2人の男が夢を介して通じ合うことにより、連続殺人事件の真犯人をつきとめるタイムリープサスペンス。

時間離脱者(字幕版)

時間離脱者(字幕版)

ヒロインの転生を使って過去と現在の繋がりを補完しているのが上手い。 冒頭、平行に進む現在と過去のシーンを周囲の建物や雰囲気(レトロ感を想起させる淡い色調)だけで区別して 見せるシーンが、こうしたストーリーでは斬新な手法に思えた。全体を通してテンポも快調。 真犯人の殺人鬼がなかなか倒れないのは最近の常套で、最後の大円団も含めて実に良くツボを押さえた秀作だと思う。

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌 感想

2013年のカンヌで審査員グランプリを獲得した、コーエン兄弟の監督作品。

デイブ・ヴァン・ロンクという1960年代に活躍したアメリカのフォークソング歌手の回想録を元に、ルーウィン・デイビスという架空のフォーク歌手の1961年のある一週間の生活を題材にしている。

ルーウィンは、才能はあるものの芽が出ないフォーク歌手。決まった住居も無く、知人の家を泊まり歩く生活をしている。泊めてもらった大学教授の家の飼猫を逃がしてしまったり、期待を掛けてもらい、色々お世話になっている仲間の女性歌手からは、妊娠を告げられ、その中絶費用の工面も必要になってくる。実家では、姉が父親の介護費用のために家を売ることを考えていて、ますます居場所が無くなっていく。そんな中、一縷の望みで、前にソロアルバムを送ったはずのシカゴのプロデューサーのところに売り込みに行くが・・・。

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凶悪 ピエール瀧に注目してしまう 感想

コカイン摂取で逮捕されたピエール瀧の事を想いながらNetflixを巡っていたら、タイムリー(?)にもファーストビューでレコメンドされていた本作。すでにAppleMusic等の大手音楽配信サービスではピエール瀧関連の楽曲配信が停止されるという風潮の中、この折れない堂々たるスタンス、Netflixはやはり頭一つ抜きん出ているのではないだろうか・・・と、改めて再評価していたところAmazonPrimeでも普通に配信されていた。映画作品は携わるステークホルダーの数が膨大なので安易な自粛対応は取りづらいものなのだろう。

凶悪

凶悪

冒頭2分くらいで瀧が注射針をブスリと刺して覚醒剤をキメるシーンが飛び込んできたので、ちょっと感動。
薬物事件発覚後にこのシーンを見ると「やはり経験者はキメる所作が上手いなー」と感じざるを得ない。
(瀧の場合、実際は丸めた韓国紙幣でのコカインの鼻吸入だけど)

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アメリカン・スナイパー 興行的テキサスカーボーイの苦悩

観終わった後、戦時中に軍部が協力して作った日本の戦争映画を、終戦後米軍関係者が観て、出征する兵士の家族の悲しみや、兵隊の行軍の苦労が描かれていることが「まるで反戦映画のようだ。」と言ったというエピソードを思い出してしまった。日本では、戦争や軍隊の辛さを描いても、その辛さにもかかわらず国の為に戦うことが一層英雄視され、かえって戦意高揚になってしまうのに、米国では、戦争も軍隊生活も常に楽天的、肯定的に描かなければ愛国心が掻き立てられないのだろう。

そういった意味では、イラク戦争に従軍した兵士の苦悩や家族の悲しみを描いたこの映画は、米国の観客には、ストレートにイラク戦争の悲惨さを描いた作品と映るのかもしれない。

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