「賢い人生は”くたばれ”に基づく」

「賢い人生は”くたばれ”に基づく」

と高利貸のフランクはジムに言い放った。 カリフォニアで17番目に裕福な男の孫であるジム・ベネットは大学教授で、そして極度のギャンブル依存症だ。 彼はギャンブルで大金を溶かし続け、今や借金にまみれている。 韓国人高利貸しの季や黒人闇金業者のネビルへの返済にはもはや首が回らず、祖父の遺産を相続した母親から せっかく、借金返済として勘当同然の体で借りた金も最愛の教え子と一緒にカジノで全て溶かしてしまった。 そんな絶望的な状況下で借金返済のためジムは臆面もなくフランクへ金の貸付を要求する。

フランクはジムに言う。

お前がギャンブルで失った規模の金があったら、家を買い、車を買い、残った幾らかのお金を投資にまわして「孤独な要塞」を構えることができただろう。それは自由を得ることを意味するんだ。わかるか?つまり誰に対しても「くたばれ」が言えるということだ。

俺が金を貸して、返さなかったらやばいことになるぞ。

そう言い捨ててフランクはジムに金を貸し付けた。 ジムは金を受け取るとフランクに「くたばれ」と言い放ち、自分が置かれている逼迫した状況にケリをつけるためにその場をあとにする。

ザ・ギャンブラー 熱い賭け を観た

ザ・ギャンブラー/熱い賭け [Blu-ray]

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本作は1974年の『熱い賭け』(原題は本作と同じ)のリメイク版。 ギャンブル依存症のジムを演じるのはTEDでお気楽&おバカな優男を演じていたマーク・ウォールバーグだが、今回は一転して、目を背けたくなるくらいの危うさを孕んだ男を演じている。

借金まみれのギャンブル依存症の男が博打で溶かした金を返済するために奔走する話なんだけど、前半は本気でお金を返す気があるのか疑わしいくらいにジムの表情や立ち振る舞いに逼迫さや絶望感が感じられない。躍起になって暴力で警告してくる借金取りがまるでダッチワイフを相手にしているかのように見えて滑稽だった。現状に流され、ギャンブル以外の物事に関しての現実感を一切失っているかのようだ。母親から無心したお金も借金の返済には充てずにギャンブルで全て使い果たしてしまうし、観ている側からするとジムが一体何をしたいのか全く掴めず、破滅的な話の運びに不安を覚えただただ作品との距離感だけが開いていく。正直、見ていて何度もため息をついてしまった。

後半、カジノ賭博の現場に居合わせた大学の教え子エイミーと恋仲になった辺りからようやくジムに僅かながらの覇気(?)が出てくる。 お決まりなパターンで彼女との新しい将来のため現状を打破しようと重い腰をあげるが、結局やっていることは他の金貸しからお金を借りてストレートにギャンブル(教え子を使って八百長試合もする)するだけ。 前半の不快感さえ感じる程に重苦しくて無軌道な展開を、後半で最愛の彼女のために頑張りますっていう解りやすいアプローチでプラマイ0にしてしまおうというのはちょっと乱暴だ。

作品の中で一番印象に残ったのは、ジョン・グッドマン演じる巨漢の金貸しフランクで、その存在感も相まって彼が並べた金言めいた言葉が幾分か脳裏にこびり付いている。

早く誰に対しても「くたばれ」と言えるようになり・・・いや、言わないな。