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コンテクスト・オブ・ザ・デッドを読んだ

コンテクスト・オブ・ザ・デッド

コンテクスト・オブ・ザ・デッド

「文脈」(コンテクスト)に乗っかることによりオリジナル性を喪失した人々が次々とゾンビ化していく世界を舞台にした群像劇。

焼き直し的文脈を日頃、無自覚に消費していると実世界においてもこの先の展開に何かしらの既視感を覚えてしまう。突き詰めて考えると、自分の「意思」として行動していることも実は無意識に何かしら既存の文脈をなぞっているにしか過ぎず、そういった文脈(コンテクスト)に制御され「半自動的」な行動を繰り返しているだけの人々は、実はとっくの昔に死んでしまっているゾンビちゃんなのではないのかというメタファーな提示が面白い。

そして、今の文壇・出版界が共通のコンテクストに乗っかった業界人の内輪的な閉じた世界になろうとしている現状をゾンビ化というお話の構造的な表現で批判しながら、一億総作家時代の世の中において純粋な読み手はどれだけ残っているのだろうかというしみじみとした絶望の吐露にハッとさせられる。

コンテクスト(文脈)だったり、フレームワークだったり、人が何かを決断・決定するためにかかるコストを低減化させようとする仕組みというものが己の主体性の喪失につながるのではないかという目線は、昔、何かで読んだ生存バイアスの話の件でもやんわりとした体で提示されていてちょっと「あは!」っと思った。

「自分」を保つために疲弊して生きつつ、HPが赤色に染まったらゾンビ化して、どこかで「せいすい」をかけてもらうまで気長に彷徨うのも有りかもしれない。

せいすい」をかけてくれる人がいなかったら詰む。