逆境エブリデイを読んだ

逆境エブリデイ

逆境エブリデイ

メルマガ配信サイト「まぐまぐ」の創業社長である大川弘一が、元役員からの訴訟で手痛い敗訴を経験した流れから、自分に足りない「負けない戦い方」を学ぶため世界中で開催されるポーカー(テキサスホールデム)のトーナメントに参加しつつ旅する様を綴った手記。

ポーカーを通じて、負けない自分を作り、自らを律し、隣人を愛し、1年を終えるころにはとてつもなく
強い人になっているに違いない

決意した時の心情にあるこの「負けない自分を作る」というのは自分のリズムを作るということに似ている。社会生活を送る上で(仕事やプライベート)他者との関わりが不可避な場面では自分独自の物事の運び方・リズムを狂わされてしまうことが往々にしてあるだろう。その隙を突かれて他者から自分の「利益」を奪われるというのは何とも歯がゆいし辛いことだ。

ポーカーはシンプルであるが故に「自分のリズム」がダイレクトに勝敗に直結するゲームだ。

例えば、同卓のプレイヤーのプレイスタイルに合わせ、各ゲームで勝負するべきか否かを判断したり、フロップのカードからその試合における強い系統の役を推測し場合によっては他のプレイヤーに揺さぶりをかけたり、また逆に揺さぶられた時にはそのゲームには拘泥せずに降りたり、そういったアクションを自分独自のリズムの中で選択し実行していく。

実際に遊んでみるとわかるのだけれど、生存戦略の縮図みたいに思えてくるし、そういう観点で考えると「負けない戦い方」をポーカーで学ぶというのは案外理に適っているなと思う。

また、手記の中で著者が世界中を旅して、多種多様な人々を見て感じた件で「現在の自分は今まで自分がしてきた選択の結果の末路なんだろうなー」という独白が印象的だ。

3歳くらいの子供を連れてガソリンスタンドのゴミを集め続ける妊婦や、ニューオリンズの至るところにあふれる
ホームレス、レイクチャールズで口を開けてスロットを回し続ける家族連れや(中略) 誰もが隣人との
距離をそれぞれに調整しながらも、それぞれの場所で無意識に選んできた結果に取り囲まれて生きてきた

確信のない自分不在の選択をしてしまうこと、また、それを仕向けている社会的な背景について考えてみると、しなやかに選択していくことがこの社会で生存する上での秘訣でそれを学べるポーカーはやはり面白いゲームだと思った。

僕自身ポーカーはリアル(アミューズメントポーカー)やネット(PokerStars)で遊んだ経験があるので、著者の他のプレイヤーを胸中で観察して値踏みするときの独白や、自分の予想に反した試合展開に動揺する様子など、感情移入して読むことができて楽しめた。