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ミハスの落日を読んだ

ミハスの落日 (創元推理文庫)

ミハスの落日 (創元推理文庫)

貫井作品の中で珍しく今作は全編、外国を舞台にした短編小説だ。

日本人作家が書く海外を舞台にした作品(しかも登場人物の殆どが外人)というのは、さながら外人作家が日本を舞台にした作品を書くことに等しく、そういったシチュエーションには個人的に僅かながらの不安感を覚えてしまうのだが、読み終わった今ではそれも杞憂に過ぎなかったと思う。

もちろん読後感の重さに定評のある貫井作品のスタンスは健在だ。

観光小説的なパートと話の核心を織り成すミステリーパートの陰影がしっかりしているので、海外に行った気になりつつミステリーにソワソワしながら結末に打ちのめされるという重層的な読書体験ができた。

完全に著者の術中にはまった読者である。