読書日記 サーラレーオ 感想

新庄耕が描く悪漢小説(ピカレスク・ロマン)

大麻の栽培と密売で検挙される寸前、辛くもバンコクに逃亡した日本人カセが破滅への道程を疾走していく様を淡々と綴っている。
ちなみに「サーラレーオ」とは、タイ語で「人でなし」という意味。

サーラレーオ

サーラレーオ

基本的に悪い人達しか出てこない本作、当然、各登場人物達には1mmたりとも感情移入できなかった。読んでいる最中は終始、能面みたいな顔をしていたのではないだろうか。
心の安寧を放棄し、完全なる「悪」へとノーブレーキーで突っ込んでいくカセ。
追い詰められてもなお、逃げ続けることを諦めない彼の様子を行間越しに眺めていると、次第にその振る舞い一つ一つが、生物が備え持つ生命維持のための機能的反応のように思えて、途中から研究室で生物実験の観察をしているような心地を覚えた。