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ジョーカーを観た

売れないコメディアンが最狂のヴィランになる話、ジョーカーを観た。

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コメディアンとしてただ人を笑わせたいと純粋に願っているだけのアーサー(ホアキン・フェニックス)。

そんな彼に社会は厳しく、アーサーはピエロの仕事と母の介護でギリギリの生活を送りながらコメディアンとしての成功を切望するが、一向に報われない。

随所で差し込まれる彼の妄想とそれを乱暴に引っぺがすようなハードな現実の連続が観ているこちらの心にズシリと圧をかけて息が詰まる。
また、そこにあのアーサーの高笑いが流れると底知れぬ不安と悲哀の入り混じった形容し難い感情になりむせび泣き必至だ。

誰も彼もが無関心なこのゴッサムシティーで、共感や助けを求めても無視され、否定され、抑圧されるという不条理と、さらに追い打ちをかけるように明らかになる自身の出生の秘密。そこに横たわる二重の意味での悲劇に叩きのめされ、とうとう「僕の人生は喜劇であり悲劇だ」とアーサーはジョーカーへと覚醒してしまう。

「善悪は主観でしかない」というジョーカーの辿り着いた答えは「勝てば官軍」「歴史は勝者がつくる」等のように確実に我々の内奥深くに鎮座しつつも目を背け続けているあの怜悧な現世の真理を再認識させてくる。

観終わった後、身体の奥底からゾワゾワとした感情が沸き上がって尋常ではないくらい動揺してしまった。

最後まで気の抜けない見応え最狂の話題作だろう。